ベルリン進出案内

ベルリン / Berlin について、現地法人設立や起業の観点からご説明します。

言わずと知れた首都で、人口はドイツ第一ですが、東西統一の前の影響は色濃く残っています。日本でのイメージとは違うかもしれませんが、実は物価が安く、所得レベルも低めです。

むしろベルリンの魅力は、ドイツの他の都市にはない自由でクリエイティブな空気。昔はテクノ音楽の都。現在ではベンチャーやアーティストが集まる街です。大企業よりも起業やフリーランスのビジネスに向いていると言えるでしょう。

目次

1)ベルリンの産業
2)ベルリンの人口
3)ベルリンの空港
4)ベルリンの事業税
5)日系企業のオフィス立地

1)ベルリンの産業

ベルリンの主要産業は、首都のため公益性の高いものになります。

ベルリンの雇用人数別・大企業ランキング

  1. Deutsche Bahn AG(ドイツ鉄道)
  2. Berliner Charité(医大)
  3. Klinikgruppe Vivantes(市立病院)
  4. BVG(ベルリン公共交通)
  5. Siemens AG(ミュンヘン本拠の重電メーカー)
  6. EDEKA(ハンブルク本拠のスーパーチェーン)
  7. Daimler AG(シュツットガルト本拠の自動車メーカー)
  8. Deutsche Post DHL(ドイチェポスト・郵便)
  9. Deutsche Telekom(ドイチェテレコム・通信)
  10. WISAG Gruppe(フランクフルト本拠の空港オペレーター)

「地方分権国家ドイツ」らしく、首都ベルリンは政治と観光の機能が優れていますが、主要産業は他都市が担っています。たとえば、金融はフランクフルト、自動車はシュツットガルト、電機はミュンヘンといった形です。

日系企業については、ベルリン日本商工会さんがホームページで会員一覧を開示されています。連邦政府・議会がベルリンにあるためか、マスコミ関係の企業が多くなっています。

このようにあまり大きな産業はありませんが、ベルリンにはベンチャー企業が多く育つ特性があります。下の地図のように、年間トップ 50 にランクされるベンチャー企業の4年間の合計数は、ミュンヘンと並んでベルリンがドイツで一番という数字があります。

https://www.top50startups.de/

2)ベルリンの人口

ベルリンはドイツで最も人口の多い都市です。直近の統計では 360万人を超えています。ポツダム Potsdam など隣接都市を加えた「ベルリン生活圏」では 470万人、より広域な「ベルリン・ブランデンブルグ首都圏」では 620万人となっています。他のドイツの主要都市と違って、周辺人口の方の比率は低くなっています。

外国人人口は 20.9%とドイツ主要都市の中ではかなり低めです。同じく「移民バックグラウンド市民」(本人ないしは両親の少なくとも一方が外国籍を持って生まれた市民)も 35.7% とかなり低い方になっています。ベルリン南部や東部を中心にトルコ系移民が多い印象が強いですが、実は外国人が少なめという統計結果になります。

日本人の人口は、外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると 3,700 人となっていまして、周辺都市を含まなければ、デュッセルドルフミュンヘンに次いで3番目です(フランクフルトは市外に日本人人口が多い)。日本人学校の児童・生徒数や先述のベルリン日本商工会の会員数からしても、現場の実感としても、フリーランスや大学関連で現地で長く暮らしている方が多いと見られます。駐在は、主に外交官やジャーナリストの方々がおられます。

日本人学校は全日制のほか補習校が二校あります。補習校には幼稚部も用意されています。所在地はそれぞれ西ベルリンになります。インターナショナルスクールは、各国大使館が集まる首都だけあって、非常にたくさんあります。

主な日本人の組織には、ベルリン日本人商工会のほか、ベルリン日独センターなどがあります。

3)ベルリンの空港

ベルリンの空港は、新しいものが2020年に開港したばかりです。以前あった3つの空港が、1つに統合されました。建設工事が10年近く遅れ、工事費が当初予定の3倍にも上ったことが、非常に頻繁にニュースになっていた有名な空港です。なお、現在はターミナル 1, 2, 5 がありまして、ターミナル 3, 4 は2030年ごろのオープンになりそうです。

場所は、シェーンフェルト / Schönfeld という空港が以前よりあった場所で(同空港が現在のターミナル5 に当たる)、市街地からは南東に 30km ぐらい離れた場所です。

電車での移動は、30-50 分ぐらいです。ベルリンは広いので、どこからどう乗り継ぐかによって、所要時間は大きく違ってきます。

飛んでいる便は、ほとんどが欧州域内となります。日本への直行便はなく、日本へ飛ぶにはフランクフルト、ロンドン、パリ、アムステルダム、イスタンブールなどで乗り換える形になります。

4)ベルリンの事業税

事業税 / Gewerbesteuer とは、法人の利益への課税のうち市町村から課される部分で、各自治体ごとに異なる料率をかけます。一方、国と州から課されるのは法人税 / Körperschaftsteuer といって一律 15%ですが、その課税額に対し 5.5% の連帯付加税 / Solidaritätszuschlag(東ドイツなどの復興納税)が加わりますので、実質 15.825% となります。

事業税の計算の仕方は、3.5% のベースレート / Steuermessbetrag があって、それに市町村ごとの掛け目 / Hebesatz を掛けます。一般には 400% ぐらいの掛け目が一般なので(レンジは 200-900%)、3.5% x 400% = 14% の事業税ということになります。

これに先の法人税 約15.8% と合わせますと、約29.8% ということになります。

さて、ベルリンの掛け目ですが、410%とドイツの主要都市の中ではフランクフルトと並んで最も低くなっています。上記と同様に計算しますと、事業税が 14.35% で、法人税と合わせて約30.2% になります。

周辺都市(ブランデンブルグ州という別の州になります)では田舎に行くと 300% 台と掛け目の低い街も多いですが、同州州都のポツダム Potsdam では 455% とむしろ高くなっています。

いずれにせよ、事業税の対象となる自治体は、単に本拠地というだけでは決まりません。売上の上がった場所、従業員数の拠点ごとの分布など、いくつかのファクターで総合的に求められます。具体的な計算や税務署への報告には日本人税理士を紹介しております。

5)日系企業のオフィス立地

日系企業のオフィス立地ですが、そもそもベルリンには日系企業が少ないので、あまり一般化できません。

ただし、ソニーさんは中央駅から南に下った旧東西の間のエリア。ユニクロさんの旗艦店も旧西ベルリンの中心である、ツォー / Zoo(動物園)から西に向かうクーダム / Kurfürstendamm (Ku’damm) にあります。(地図上、左側の丸)

一方、ブランデンブルグ門 / Brandenburger Tor の周りには連邦議会 / Bundestag はじめ政治機能が集まります。そのため、地図上の右側の丸のエリアには、マスコミ関係や士業の方々のオフィスが多めになります。 

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