ハンブルグ進出案内

ハンブルク Hamburg について、現地法人設立や起業の観点からご説明します。

アルスター湖に面した市街地が美しく、海とも見紛う広大なエルベ川に面した港町です(実は海には面していません!)。ヨーロッパの北海方面の港として、ロッテルダム(オランダ)、アントワープ(ベルギー)に並ぶ海運業の要所になっています。

歴史的に「ハンザ同盟」で知られる自由商業都市で独立気質が高く、マスコミ・メディア産業の都でもあります。Google のドイツ拠点がハンブルクであるというのもうなずけます。

ドイツにしてはエンターテインメント産業も盛んで、ニューヨークとロンドンにははるか及ばないものの、常時大型の公演が行われている意外なミュージカルのメッカです。また、歓楽街のレーパーバーン Reeperbahn は、少し怪しい観光地であるほか、あのビートルズが開花した場所として有名です。

 

目次

1)ハンブルクの産業
2)ハンブルクの人口
3)ハンブルクの空港
4)ハンブルクの事業税
5)日系企業のオフィス立地

 

1)ハンブルクの産業

ハンブルクの主要産業は、港湾都市だけあって運輸物流(いわゆるロジスティクス)関連産業がもっとも代表的です。それに次いで、小売やマスコミの存在感も大きく、文化的に開けた土地柄が想起されます。

ハンブルクの雇用人数別・大企業ランキング

  1. Tchibo GmbH(MUJI をもっと普通にしたような小売チェーン)
  2. Hapag-Lloyd AG(海運)
  3. Fielmann AG(メガネ・光学)
  4. Lufthansa Technik AG(空運)
  5. HGV(港湾運営。市の子会社)

6位以降は持ち分の関係などもあって入り組みますが、上記の Tchibo のほかにも、大手スーパーチェーンの EDEKA と通販チェーンの Otto もハンブルク本拠の大企業です。

ニベア NIVEA で有名な(そもそもニベアがドイツのものということが知られていないかもしれませんが) Beiersdorf AG もハンブルクの会社です。

マスコミ・出版大手の Axel Springer AG や高級週刊誌 Der Spiegel の本社もハンブルクにあります。

2)ハンブルクの人口

ハンブルクはドイツで2番目に人口の多い都市です。直近の統計では人口 190万人になり、EU 圏内の首都以外では最も大きな都市になるそうです。リューベック Lübeck、シュベーリン Schwerin など周辺都市を加えた「ハンブルグ都市圏」では 320万人となっています。

ドイツの主要都市の中では、都市圏としての周辺人口は最も少なく、それだけハンブルク市内が充実していると言えます。事実、東京のようにある程度の大きさの繁華街が複数あるのは、ドイツではベルリンとハンブルクだけです。人口3位のミュンヘン以下では、市中心部にほとんど全てが集中している傾向があります。

外国人人口は意外に少なく、直近の数字で 17%とドイツ主要都市の中では最も低くなっています。同じく「移民バックグラウンド市民」(本人ないしは両親の少なくとも一方が外国籍を持って生まれた市民)も 34% と最低水準です。トルコ人、ついでポーランド人が多いというのは通常通りですが、ついでアフガニスタン人やセルビア系の人が多いのが特徴的です。

日本人の人口については、外務省の「海外在留法人数調査統計」によれば、ハンブルク総領事館管轄の 4州に 5000人近く邦人が登録されているそうです。この 4州にはブレーメン Bremen やフォルクスワーゲンのお膝元のニーダーザクセン Niedersachsen が入っていますので、3000人ぐらいはハンブルクとその周辺に居住していると考えてよさそうです。

日本人学校はハルステンベック Halstenbek という北西の郊外の街にあり、全日制・補習校ともに幼稚部から揃っています。インターナショナルスクールも市内西部に一校あります。

主な日本人の組織には先述のハンブルク日本人会がありますほか、ハンブルク独日協会もあります。

3)ハンブルクの空港

ハンブルクの空港は、古くからの歴史はあるものの、現在の規模はドイツで5番目とされています。空運の中心はフランクフルトであって、ハンブルクはあくまで海運の中心地だという位置づけです。

中心地から北に10キロ超の場所にあります。車では道路状況にもよりますが 20-30分、電車では Sバーン (S1) で30分になります。

飛んでいる便は、ほとんどが欧州域内となります。日本への直行便はなく、日本へ飛ぶにはフランクフルト、ロンドン、パリ、アムステルダム、イスタンブールなどで乗り換える形になります。

4)ハンブルクの事業税

事業税 Gewerbesteuer とは、法人の利益への課税のうち市町村から課される部分で、各自治体ごとに異なる料率をかけます。一方、国と州から課されるのは法人税 Körperschaftsteuer といって一律 15%ですが、その課税額に対し 5.5% の連帯付加税 Solidaritätszuschlag(東ドイツなどの復興納税)が加わりますので、実質 15.825% となります。

事業税の計算の仕方は、3.5% のベースレート Steuermessbetrag があって、それに市町村ごとの掛け目 Hebesatz を掛けます。一般には 400% ぐらいの掛け目が一般なので(レンジは200-900%)、3.5% x 400% = 14% の事業税ということになります。

これに先の法人税と合わせますと、約29.8% ということになります。

さて、ハンブルクの掛け目ですが、470%とドイツの主要都市の中でも高めです。上記と同様に計算しますと、事業税が 16.45% で、法人税と合わせて約32.3% になります。

周辺都市では中には優遇的な事業税率を設定しているところもありますが、ハンブルクの場合は他のドイツ主要都市と違ってほとんど全ての機能がハンブルク市内に揃っているため、市外に拠点を置く企業は少なくなっています。

またいずれにせよ、事業税の対象となる自治体は、単に本拠地というだけでは決まりません。売上の上がった場所、従業員数の拠点ごとの分布など、いくつかのファクターで総合的に求められます。具体的な計算や税務署への報告には日本人税理士を紹介しております。

5)日系企業のオフィス立地

日系企業のオフィス立地ですが、ハンブルクの場合はあまり目立った傾向はありません。強いて言えば、市北部の空港周辺(上の青い円)、それから市東部のハム Hamm などの産業地域(右の青い円)のエリアになります。

なお、左の赤い円が、先述の日本人学校のあるハルステンベック Halstenbek になります。S3 沿線ですが近年は住宅難のため、路線沿いで住居を見つけるのは難しくなってきています。

ドイツ市場情報カテゴリーの記事