ドイツ会社設立における公証人の役割
ドイツの会社形態のうち、商業登記が必要な、株式会社、有限会社、独立支社などは、公証人 Notar の下での書類の認証が必要です。
公証人は、設立証書(定款含む)と登記申請書を認証した上で、商業登記裁判所に提出します。また、定款の作成も依頼することが可能です。
なお、この認証をもって、「設立中の会社」GmbH i.G. として、法人格は未取得ながら、採用や取引が可能になります。
(ご参考「ドイツ会社設立の手続き」)
そもそもドイツの公証人とは?
ドイツにおける公証人とは、日本の公証役場と同じく文書の認証をする役目と同時に、定款作成などの司法書士のような役割も果たします。弁護士と兼業の人も少なくありません。
会社実務では、当初の設立のほか、定款の変更、持分の譲渡、増資・減資など、登記内容を変更する必要があるものについては、公証人の認証が必要です。
会社設立以外の公証人の認証対象としては、不動産の譲渡・取得、夫婦の財産契約、遺言などがあります。
公証人は、一般には数人で法律事務所や公証人事務所を運営していて、事務所には何人かのパラリーガル的な事務員や秘書、受付がいる構成になります。
どういう公証人を選べばよいか
公証人の仕事の内容や費用には、ほとんど差はありませんが、公証人を選ぶ場合には以下の点に注意するべきです。
- 署名をしに行くことになるので、公証人事務所へのアクセスがよいこと
- 公証人の地域の商業登記裁判所に登記申請されるので、商業登記をしたい都市(登記地の都市名は、登記番号とともに、ウェブサイト、メールの署名、レターヘッドなどに表示するものです)
- 彼らの仕事の中で会社設立はあまり旨味のある仕事ではないため、後回しにされるような忙しさや仕事ぶりでない公証人であること
料金については、認証の仕事自体は単価が決まっていますので、あとは定款作成を公証人に委託した事務手数料などによって変わります。ただし、通常は 800 ユーロぐらい(+ VAT 19%)が標準的です。
(公証人のご紹介が必要な場合はお問い合わせください)
署名をするときの注意
設立証書(定款)と登記申請書のドラフトが届いて、内容のチェックまでできたら、公証人の事務所で署名をするアポイントメントをとります。以下は、その際の注意です。
- 公証人の認証では、ドイツ語原文をすべてその場で早口で読み上げられます。それを全て聞いて内容を理解したという確認の後に、署名をします。読めば内容は理解はできるドイツ語レベルであっても、早口に読まれる法律のドイツ語を即座に理解することは極めて難しいと思われます。そのため、ドイツ語がお出来のクライアントであっても、先にドラフトの段階で理解しておかれることをお勧めしております。
- ドラフトで予習することは可能ですが、実際に署名するご当人がドイツ語を話せない場合には、通訳をつけることを要請されることがあります。しかも、法定翻訳資格をもっている方による通訳しか認められないことがあるので、人選の段階で予め公証人と相談しておくべきです。
以上、ドイツの会社設立における公証人の役割をご説明しました。
ご不明の場合はお問い合わせください。