ミュンヘン進出案内

ミュンヘン / München について、現地法人設立や起業の観点からご説明します。

サッカーとビールで有名ですが、BMW やジーメンス / Siemens といった製造業、アリアンツ Allianz などの保険会社と、世界的大企業の本拠地でもあります。

目次

1)ミュンヘンの産業
2)ミュンヘンの人口
3)ミュンヘンの空港
4)ミュンヘンの事業税
5)日系企業のオフィス立地

1)ミュンヘンの産業

ミュンヘンの主要産業は、上述のように自動車や重電を中心として製造業、それから保険業になっています。ドイツを代表する世界的企業が揃っています。

ミュンヘンの雇用人数別・大企業ランキング

  1. ミュンヘン市
  2. BMW AG(自動車)
  3. TUM(ミュンヘン工科大学)
  4. ミュンヘン空港
  5. MAN SE (トラック)
  6. Siemens AG(重電・家電)
  7. Allianz SE(保険)
  8. Linde AG(産業ガス)
  9. Münchner Rückversicherung(ミュンヘン再保険)
  10. Sparkasse München(地銀)

したがって日系企業も電機、自動車部品関連のメーカーがほとんどです。通信セクターも存在感があります。

2)ミュンヘンの人口

ミュンヘンはドイツ第3の人口を誇り、直近の統計では150万人を超えています。日本の主要都市と比べるとかなり小さいですが、他のドイツの主要都市と同じく周辺人口が豊富で、州内の「ミュンヘン計画区」では290万人、より広域の「ミュンヘン都市圏」ですと610万人にも上ります。

また、ミュンヘンはドイツ主要都市の中で人口密度が一番高く、1キロ平米あたりの人口は 4,800 人になります(東京は 6,000 人強)。

外国人の住民比率は 27% と主要都市の中ではフランクフルトに次いで高くなっていますが、「移民バックグラウンド市民」(本人ないしは両親の少なくとも一方が外国籍を持って生まれた市民)の割合は 34% と逆に主要都市の中では最も低くなっています。つまり「駐在も含めて仕事の上での一代限りの移住は多いが、家族代々の移民や混血は少なめ」ということになりますが、これは実感と合っています。たしかに、ミュンヘンは地元意識が強いので、我々外国人には深く入り込みにくいと一般に言われています。

購買力統計 / Kaufkraftindex では、ミュンヘンと周辺都市がドイツでトップに並んでおり、同時に物価も高めになっています。不動産価格も高く、家賃価格はドイツで一番となっています。

一方、日本人の人口は、外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると 5,500 人になっていまして、デュッセルドルフに次いで日本人の多い都市になります。

日本人学校は全日制と補習校が両方あり、日本人幼稚園もあります(それぞれ所在地は別)。インターナショナルスクールは主に3校(Munich International School, Bavarian International School, St. George’s)があります。

ミュンヘン日本人会には個人会員と法人会員の両方が所属していて、イベントや会報の発行が活発に行われています。

3)ミュンヘンの空港

ミュンヘンの空港は、市の北東30キロすぎのところに位置し、イスマニング / Ismaning やガーヒング / Garching といった近隣都市の更に北東になりますが、ミュンヘン市に入っています。

上の地図では 30分前後で着くように出ていますが、渋滞が多いので実際の感覚は車で 45分ぐらいです。電車(Sバーンの S1, S8)でもミュンヘン中央駅から 40分前後かかります。

ミュンヘン空港はフランクフルトの空港に次ぐドイツ第二の空港で、規模も大きく本数も豊富です。アメリカやアジアへのフライトもあり、日本との間の直行便もあります。(コロナウイルスの影響もありますので、逐次ご確認ください。ご参考: ウィキペディア「日本の空港から直行便のある都市一覧」

4)ミュンヘンの事業税

事業税 / Gewerbesteuer とは、法人の利益への課税のうち市町村から課される部分で、各自治体ごとに異なる料率をかけます。一方、国と州から課されるのは法人税 / Körperschaftsteuer といって一律 15%ですが、その課税額に対し 5.5% の連帯付加税 / Solidaritätszuschlag(東ドイツなどの復興納税)が加わりますので、実質 15.825% となります。

事業税の計算の仕方は、3.5% のベースレート / Steuermessbetrag があって、それに市町村ごとの掛け目 / Hebesatz を掛けます。一般には 400% ぐらいの掛け目が一般なので(レンジは200-900%)、3.5% x 400% = 14% の事業税ということになります。

これに先の法人税 約15.8% と合わせますと、約29.8%ということになります。

さて、ミュンヘンの掛け目ですが、490%とドイツの主要都市の中では最も高くなっています。上と同様に計算しますと、事業税が 17.15% で、法人税 約15.8% と合わせて約33.0% になります。

しかし一方で、周辺の他都市は 350% 前後の低めの都市が多く、28-29% ぐらいの着地が望めるところが多くあります。後述のようにミュンヘン市街地とミュンヘン空港の間には日系企業が拠点を置くエヒング Eching やイスマニング Ismaning など郊外都市がいくつかありますが、330% と更に低くなっています。

ただし、事業税の対象となる自治体は、単に本拠地というだけでは決まりません。売上の上がった場所、従業員数の拠点ごとの分布など、いくつかのファクターで総合的に求められます。具体的な計算や税務署への報告には日本人税理士を紹介しております。

5)日系企業現地法人のオフィス立地

ミュンヘンでは、日系企業の現地法人の多くは中心部から北側のシュヴァービング / Schwabing 周辺か、東側のボーゲンハウゼン / Bogenhausen からリーム / Riem 周辺にオフィスを構えています。市の中心部は、オフィス賃料が高く渋滞も多いので、来客がよほど多い業態でない限りは割に合わないところがあると思われます。

また、北東に位置するミュンヘン空港手前の郊外都市であるエヒング / Eching やイスマニング / Ismaning を選ぶ企業もあられます。これらの都市はミュンヘンよりは事業税が安く(上記「4)ミュンヘンの事業税」ご参照のこと)、オフィス賃料も割安になります。また周辺のガーヒング / Garching などは優良な居住エリアですので、郊外型の職住近接生活も実現可能です。

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