ドイツは署名(サイン)中心社会
ドイツでは他の欧米諸国と同様、署名が契約の締結に必要となることがほとんどです。日本における印鑑の役割を、署名が果たします。なお、2021年11月の現段階において、電子署名は普及していません。
簡単な契約では印刷・署名・スキャンしたものをPDFの形でメールで交わしたりすることも多い一方、重要な契約になればなるほどオリジナル原紙に手書きでサインすることが重んじられる傾向が残っています。
会社設立についても例外ではなく、有限会社の設立証書には会社代表者が公証役場で直接サインする必要があります。また、日本の親会社からの設立委任状には署名にアポスティーユまでつけてオリジナルを日本から送ってもらう必要があって時間と手間がかかります。(ご参考: ドイツ会社設立の手続き)
【おまけ】署名はパスポートと同じサインでよいか
「署名はパスポートと同じサインでよいか?」は、よくいただくご質問です。上述のような会社設立の場合には本人確認書類としてパスポートが重要になってきますので、パスポートと同じサインで行うのが正しいと考えられます。(公証役場での設立証書サインの際には、パスポートのコピーもとられます。)
ところで、パスポートの署名は漢字にされている方も多いと思われます。上記のような場合には、そのまま漢字で署名します。また、漢字は真似がされにくいのでカードの盗難など防犯対策として有効な面があります。しかし、常に必ず漢字で署名しなくてはならないかというと、そうとも限りません。
上記と違って役場を通さないレベルの賃貸契約など一般の契約で(特に田舎の場合は)「何が書いてあるか判じることができない」という理由で、漢字での署名が受け入れられないケースがごく稀にあります。そういった場合、ローマ字・筆記体のサインにしてしまって実務上問題はありません。
また、サインする枚数が多すぎて漢字で書いていられない場合も、同じくローマ字・筆記体にして実務上通るようです。
具体的には、契約の内容や相手方、書類要件などによりますので、相談して進めることが重要です。