シュツットガルト進出案内

シュトゥットガルト / Stuttgart について、現地法人設立や起業の観点からご説明します。

ベンツとポルシェで知られる自動車都市です。外国人比率はフランクフルトに次いで高く、ドイツの進出先として適しています。実際の進出の際には後述のように、盆地である地形やビザ取得のポイントなどに考慮が必要です。

目次

1)シュトゥットガルトの産業
2)シュトゥットガルトの人口

3)シュトゥットガルトの空港
4)シュトゥットガルトの事業税
5)日系企業のオフィス立地

1)シュトゥットガルトの産業

代表的企業を見れば、主要産業は一目瞭然です。

シュトゥットガルトの雇用人数別・大企業ランキング

  1. Daimler AG(メルセデスベンツのこと)
  2. Bosch GmbH(ボッシュ)
  3. Porsche AG(ポルシェ)
  4. LBBW(州立銀行)
  5. Wüstenrot & Württembergische AG(住宅金融・保険)
  6. MAHLE GmbH(エンジン、自動車部品)
  7. Breuninger(高級デパート)

ボッシュは重電家電も含めた巨大コングロマリットですが自動車関連が大半ですので、シュツットガルトは大手7社中4社が自動車関連だと言えます。

したがって、日系企業の現地法人も、ベンツやボッシュを取引先とした会社や部門が多くなっています。

2)シュトゥットガルトの人口

市の人口は2020年末の統計で63万人とされています。ドイツで6番目の大きさになりますが、やはり他のドイツの主要都市と同じく、日本と比べると地方中枢都市ぐらいの規模感です。しかし、シュツットガルトもやはりエスリンゲン / Esslingen はじめ周辺都市と合わせて経済圏を形成していますので、隣接都市を合わせると100万人超と見ることができます。また、南北のハイルブロン / Heilbronn やチュービンゲン / Tübingen など衛星都市も含めた「シュツットガルト都市圏」としては540万人にも上ります

また、ドイツはどの都市も同じ傾向がありますので、この63万人の人口でドイツ7番目の大きさとなっています。

外国人比率は 24.6% と高く、「移民バックグラウンド」の市民(本人ないしは両親の少なくとも一方が外国籍を持って生まれた市民)の率も4割と、ドイツの主要都市ではフランクフルトに次いで2番目となっています。

日本人の人口は、1700人から2000人ぐらいと言われています。日本人学校は補習校はありますが、全日制がありませんので、インターナショナルスクール(ISS や SIS)に通うのが一般的です。

シュトゥットガルト日本人会は、強力なリーダーシップの下で個人会員・法人会員の区別なく、活発に四半期ごと・月次の各種行事を行なっていて、非常に交流が盛んです。会員数400名と言いますので、日本人人口全体と比べた会員比率は非常に高いものとなっています。

3)シュトゥットガルトの空港

シュツットガルトの空港は、市の南端のフィルダーシュタット / Filderstadt とラインフェルデン・エヒターディンゲン / Leinfelden-Echterdingen の境にあります。また、メッセ・シュトゥットガルトと隣接してもいます。

上の地図では市の中心から車で16分と出ていますが、盆地でかつ車社会であるシュツットガルトでは、渋滞のため予想以上に所要時間がかかることが多く、感覚的には30分ぐらいかかります。

電車(Sバーン)では街中から25分前後になります。

あまり有名な空港ではなく、ほとんどがドイツ国内ないしは欧州主要都市向けとなります。日本への飛行には、フランクフルト、ロンドン、パリ、アムステルダム、イスタンブールなどへ飛んでから乗り換える形になります。

もっとも、最近ではフランクフルトまでは特急(ICE)で1時間15分ほどで行くことができます。

4)シュトゥットガルトの事業税

事業税 / Gewerbesteuer とは、法人の利益への課税のうち市町村から課される部分で、各自治体ごとに異なる料率をかけます。一方、国と州から課されるのは法人税 / Körperschaftsteuer といって一律 15%ですが、その課税額に対し 5.5% の連帯付加税 / Solidaritätszuschlag(東ドイツなどの復興納税)が加わりますので、実質 15.825% となります。

事業税の計算の仕方は、3.5% のベースレート / Steuermessbetrag があって、それに市町村ごとの掛け目 / Hebesatz を掛けます。一般には 400% ぐらいの掛け目が一般なので(レンジは200-900%)、3.5% x 400% = 14% の事業税ということになります。

これに先の法人税 約15.8% と合わせますと、約29.8%ということになります。

さて、シュツットガルトの掛け目ですが、420%と主要都市の中では低めです。上記と同様に計算しますと、事業税が 14.7% で、法人税 約15.8% と合わせて 30.5% になります。

また一方で、シュツットガルトの近郊には後述のようにエスリンゲン / Esslingen はじめ企業の拠点となる都市が多いですが、いずれも 390-400% 程度の掛け目で、シュツットガルトとあまり差はありません。あえて低いところ探すと、メルセデスの工場がある Sindelfingen が 370% と低めのようです。

もっとも、事業税の対象となる自治体は、単に本拠地というだけでは決まりません。売上の上がった場所、従業員数の拠点ごとの分布など、いくつかのファクターで総合的に求められます。具体的な計算や税務署への報告には日本人税理士を紹介しております。

5)日系企業現地法人のオフィス立地

シュツットガルトでは、日系企業の現地法人の多くは南側の郊外に居を構えています。それには以下の理由があります。

  1. ダイムラー(メルセデスベンツ)はじめ主要現地メーカーが郊外に多いこと
  2. 盆地であるシュツットガルト市街地にはオフィス向きの立地が少ないこと
  3. 郊外からシュツットガルト市街地への通勤には渋滞が多いこと

実際に、エスリンゲン / Esslingen に大手日系企業が多いほか、ラインフェルデン・エヒターディンゲン / Leinfelden-Echterdingen にも数多くの日系の現地法人オフィスがあります。その他の周辺の市でも日系企業が活躍されています。

また、裏話ですが、ビザ取得のためにはシュツットガルト市以外の自治体で申請することが有利となっています。

ドイツ市場情報カテゴリーの記事