デュッセルドルフ進出案内

デュッセルドルフ / Düsseldorf について、現地法人設立や起業の観点からご説明します。

ドイツでは日本人人口と企業数が最も多い都市です。ただし、ドイツ全体では小売やアパレルの印象が強い街です。また、北側にはいわゆるルール工業地帯が位置し、鉄鋼業や電力業の関連もあります。

目次

1)デュッセルドルフの産業
2)デュッセルドルフの人口
3)デュッセルドルフの空港
4)デュッセルドルフの事業税
5)日系企業のオフィス立地

1)デュッセルドルフの産業

デュッセルドルフの主要産業は、実は小売やアパレルです。その他では「ルール工業地帯」が近いため、鉄鋼や電力関連が目立ちます。

デュッセルドルフの雇用人数別・大企業ランキング

  1. デュッセルドルフ空港
  2. Rheinmetall AG(鉄鋼)
  3. Metro AG(小売)
  4. Mercedes Benz(自動車)
  5. Terex Corporation(建設機械)
  6. SMS Group GmbH(金属)
  7. E.ON SE(電力)

以上のように小売のほか、鉄鋼・電力関連が目立ちます。

なお、小売については、ドイツの代表的企業の本拠が集まっています。Metro AG はコストコのような国際的な会員制卸売・小売チェーンで、日本にも進出していました。また、同社からスピンオフした企業のうち、家電量販店最大手の SATURN と MediaMarkt を有する Ceconomy AG と、大型スーパーの Real GmbHは同じくデュッセルドルフ に本拠を残しています。(百貨店的業態の Galeria Kaufhof GmbH は Karstadt と合併してエッセン Essen が拠点)。

また、アパレル小売チェーンの Peek & Cloppenburg KG と、ファストファッションの先駆けだった C&A のドイツ本社も、デュッセルドルフにあります。

一方、日系企業については、重厚長大全盛の時代よりデュッセルドルフを拠点にする会社が多く、今日までその傾向が続いています。ドイツの他都市と違って、ドイツの現地企業との取引のためというよりは、他の日系企業との取引のために選ばれる立地になっています。

デュッセルドルフ日本商工会議所には実に 500社を超える会員があり、欧州最大の日系企業団体だそうですが、そのうち 300社がデュッセルドルフの企業だそうです(その他はハンブルク、フランクフルト、ミュンヘン、ドイツ国外よりの会員)。

2)デュッセルドルフの人口

デュッセルドルフ市の人口は、2020年末の統計で 62万人とドイツで7番目の大きさになります。やはり他のドイツの主要都市と同じく、日本と比べると地方中枢都市ぐらいの規模感です。

しかし、日本人の居住も多い周辺都市であるクレーフェルト / Krefeld、メーアブッシュ / Meerbusch、ノイス / Neuss などを加えると優に 100万人は超える計算になります。また、かなり広域ではありますが、ケルン / Köln やエッセン / Essen、ドルトムント / Dortmund など周囲の大型都市と合わせて、人口 1,100万人のドイツ最大の都市圏「ライン・ルール都市圏」ともされています。

外国人人口は 19%と実はドイツ主要都市の中ではかなり低い方になっています。同じく「移民バックグラウンド市民」(本人ないしは両親の少なくとも一方が外国籍を持って生まれた市民)も 35% と最低に近く、日本からの見え方とは違って「外国人が少なめ」という実像があります。

一方、日本人の人口は、外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると 7,300 人になっていまして、ドイツでは最大かつ、ヨーロッパでもロンドン、パリに次いで3番目になります。なお、周辺都市を含めた実質的な日本人人口は一口に1万人とされていまして、ミュンヘンフランクフルト圏の約2倍になります。したがって、日本語でお願いできる医師や美容室、日系のスーパーや飲食店が特に多いのが生活上の利点となっています。

日本人学校は全日制と補習校が両方あり、日本人幼稚園もあります。インターナショナルスクールは市北部の空港の近くにあります。

主な日本人の組織としては、先述のデュッセルドルフ日本商工会議所のほか、デュッセルドルフ日本クラブがあるほか、大学OB会、各県人会など、日本人の集まりはかなり豊富に存在しています。

3)デュッセルドルフの空港

デュッセルドルフの空港は市内北側になります。街から非常に近く、上の地図によればわずか 12分で着くことになっていますが、出発地点によっては途中に市街地を走る時間も長いので渋滞への注意は必要です。しかし、電車(RE という中距離列車や Sバーン)では中央駅から 10分前後で着きますので、やはり非常にアクセスはよいと言えます。

ドイツではフランクフルトミュンヘンに次ぐ、3番目の空港です。欧州中近東の範囲での本数は豊富です。また、日本との間の直行便もありました。(コロナウイルスの影響がありますので、逐次ご確認ください。ご参考: ウィキペディア「日本の空港から直行便のある都市一覧」

ただし、統計に基づかない定性的情報ではありますが、混雑が多くて乗り換えを逃した話など、オペレーション面の不満の声は多く、規模に比してフライトが多すぎるのかもしれません。

4)デュッセルドルフの事業税

事業税 / Gewerbesteuer とは、法人の利益への課税のうち市町村から課される部分で、各自治体ごとに異なる料率をかけます。一方、国と州から課されるのは法人税 Körperschaftsteuer / といって一律 15%ですが、その課税額に対し 5.5% の連帯付加税 / Solidaritätszuschlag(東ドイツなどの復興納税)が加わりますので、実質 15.825% となります。

事業税の計算の仕方は、3.5% のベースレート / Steuermessbetrag があって、それに市町村ごとの掛け目 / Hebesatz を掛けます。一般には 400% ぐらいの掛け目が一般なので(レンジは200-900%)、3.5% x 400% = 14% の事業税ということになります。

これに先の法人税 約15.8%と合わせますと、約29.8% ということになります。

さて、デュッセルドルフの掛け目ですが、440%とドイツの主要都市の中では平均的です。上記と同様に計算しますと、事業税が 15.4% で、法人税 約15.8%と合わせて約31.2% になります。

デュッセルドルフの場合には、フランクフルトミュンヘンと違って周辺に軽減税率を用いている都市がなく、上述のクレーフェルト / Krefeld、メーアブッシュ / Meerbusch、ノイス / Neuss といった衛星都市から、エッセン / Essen、ドルトムント / Dortmund、そして大都市であるケルン / Köln も含めて、軒並みデュッセルドルフよりも高税率で、おおよそ 500% 前後の掛け目になっています。

ただし、事業税の対象となる自治体は、単に本拠地というだけでは決まりません。売上の上がった場所、従業員数の拠点ごとの分布など、いくつかのファクターで総合的に求められます。具体的な計算や税務署への報告には日本人税理士を紹介しております。

5)日系企業のオフィス立地

デュッセルドルフの日系企業の多くは、市の中心部にオフィスを構えています(太線のマル)。すなわち、中央駅から北西に伸びるインマーマン通り / Immermannstraße は日系レストランやスーパーが立ち並ぶドイツ随一の日本街ですが、そこから西側のライン川に向けての領域になります。 

また、日本人学校や幼稚園のある(日本のお寺様もあります)ライン川西岸のエリアも日系企業に選ばれています(細い線のマル)。ここは日本人の居住が多く、日系のスーパーや飲食店も増えています。

その他では、特に物流関連の企業で、北側の空港周辺に倉庫ともどもオフィスを持たれていることもあります。

ドイツ市場情報カテゴリーの記事