Creditreform 信用情報

Creditreform (Crefo) とは何か

Creditreform とは企業信用情報のデータバンクを有し、企業信用度のスコアリングを行っている機関です。ドイツでは一般個人の信用情報として SCHUFA のスコアが有名ですが、企業については Creditreform が相当します。略して Crefo とも呼ばれます。

元々は債務者の信用情報を地方の債権者間で共有し合う信用保証協会のような組合だったようですが、それが大きくなる過程で現在のように企業信用情報のデータバンクになったのだそうです。

Creditreform (Crefo) のスコアが必要なとき

Creditreform レポートの例(出所: Creditreform)

企業が以下のような活動を行うときに求められることがあります。また、個人事業であっても、SCHUFA と並んで Crefo も、または SCHUFA の代わりに Crefo を、求められることがあります。

  • 不動産賃貸契約
  • 銀行融資
  • リース

Creditreform 社の別の仕事

Creditreform は債権回収 Inkasso も兼ねています。すなわち、未払いの請求書など債権が Creditreform に回されることがあります。

Creditreform (Crefo) 信用情報・利用上の注意

債権回収業者としての Creditreform にお世話になってしまった場合には、信用情報のスコアに影響します。

また逆に、多くの企業情報は企業名や住所など基本情報しか入っておらず、ほとんどの信用上の情報が反映されていない可能性があります。つまり、利用者にとって意味のある情報とは限らないことに注意が必要です。

SCHUFA 信用情報

SCHUFA とは何か

SCHUFA とは個人を中心とした信用スコアです。ドイツに住むほぼ全ての人についてスコアがつけられています(移住して間もない場合はデータが出ません)。

SCHUFA は決して公的機関の出すものではなく、Schufa Holdings AG という民間金融機関や一般事業会社からの出資によって経営されている会社によって運営されています。

(SCHUFA オンライン請求はこちら

SCHUFA のスコアと種類について

一般のスコア Basisscore は、100点満点中 97.5 以上であれば最優秀のカテゴリーですが、95 以上であれば十分で、90 を超えていれば何とか支障はないという印象です。逆に50 を切るとかなり問題になります。

これとは別に、100 を最高点に600 台まで下がっていく、SCHUFA-Orientierungswert というスコアもあります。

また、SCHUFA には主に2種類あって、オンラインで請求して郵送を待つ正式版の SCHUFA-BonitätsAuskunft と、銀行や不動産系のウェブサイトでもその場で PDF の形でダウンロードできる SCHUFA-Bonitätscheck があります。

後者の SCHUFA-Bonitätscheck では Positive か Negative かだけはすぐに出るのですが、住宅の賃貸ぐらいの金額のものであれば、この情報で足りることもあります。なお、ダウンロードにはオンラインバンキングへのアクセスが必要です。

SCHUFA-Bonitätscheck のサンプル(出所:Immoscout 24)
SCHUFA-Bonitätscheck のサンプル (出所:Immoscout 24)

 

SCHUFA 提出が要る局面(駐在員事務所飲食店開業にも必要な場合あり)

以下のような予定がある場合には、SCHUFA には要注意です。私たちのクライアントでは、独立支社・非独立支社・駐在員事務所が代表者個人の名義でオフィス賃貸やカーリースを行う場合、または個人事業で店舗物件の賃貸契約や銀行融資を受ける場合が当てはまります。

  • 住宅賃貸契約
  • クレジットカード発行
  • 銀行ローン
  • リース
  • 個人事業(オフィス賃貸契約、銀行融資)

SCHUFA はどこから情報を集めているか

  • 銀行口座
  • クレジットカード
  • 携帯電話
  • リース
  • ローン
  • 請求書払いのネットショッピング

(注意)携帯電話やインターネット回線の支払いは盲点になりがちです。ドイツで一般に2年の固定契約の後は年に一回しか解約ができません。意図したタイミングで解約が認められず、知らぬ間に未払いの債務が残るケースがありますので、ご注意ください。

SCHUFA についての裏話

  • 実は SCHUFA はそんなに傷つかない: 私たちの日本人のクライアントは支払いに非常に責任感を持たれていて、振り込みの手違いで支払いができなかったときでも SCHUFA スコアが傷つくのではないかと心配されます。しかし、支払いが遅れて、リマインドの手紙 Zahlungserinnerung や督促状 Mahnung が来たぐらいでは影響はないようです。
  • 逆に SCHUFA は何で傷つくか: 逆に傷つくのが、支払いを更に引き伸ばして強制執行 Vollstreckung まで行ってしまった場合、債権取り立て業者 Inkasso に回されても支払わなかった場合、などです。
  • SCHUFA が回復する期間: それでは傷が癒えるにはどれほどの時間が必要なのでしょうか。小さな額では支払いの時点から12ヶ月後(ただしスコア更新は3ヶ月ごと)、大きな額では支払いから3年後と言われています。額の大小の定義は確かではありませんが、1000€を超えたものが大きな額とみなされ、支払った年の年末から数えて3年で履歴が消えるとネット検索で見られました
  • SCHUFA が間違えていたら: SCHUFA 側の間違いで劣悪なスコアをつけられてしまった事例があります。そういった場合は、異議申し立て Einspruch をして訂正を要求することができます。必ずしも簡単スムーズではありませんが、抗弁は可能です。

アポスティーユとは

アポスティーユとは何か

現地法人の設立など、会社オーナーが日本にある場合、その登記簿謄本に「アポスティーユをつけて」公証人経由で商業登記裁判所に提出する必要がある場合があります。「アポスティーユを取得する」などとも言います。(ご参考「ドイツ会社設立の手続き」

では、「アポスティーユ Apostille」とは何なのでしょうか?

まず、外務省のサイトによる説明は以下の通りです:

「『外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)』(1961年10月5日のハーグ条約)に基づく付箋(=アポスティーユ)による外務省の証明のことです。提出先国はハーグ条約締約国のみです。アポスティーユを取得すると日本にある大使館・(総)領事館の領事認証があるものと同等のものとして,提出先国で使用することができます。」(引用終わり)

日本もドイツもハーグ条約加盟国ですので、アポスティーユを用いた書類の認証が可能です。

会社設立実務におけるアポスティーユ

次に、会社設立(現地法人の設立)の実務に合わせて説明します。国をまたいでも文書の正統性が認められるようにするためのものですので、以下のような文書について、アポスティーユを取得する必要が出てきます。

アポスティーユをつけて、提出する書類の主な例

  • 親会社の登記簿謄本・ドイツ語訳
  • ドイツ現地の代表者に対する設立委任状

日本の公証役場から言われてしまう困ったこととその対策

しかし、いざ日本の公証役場に行くと、「公証役場は私文書しか認証できないので、公文書である登記簿謄本にアポスティーユをつけることはできない」と言われてしまいます。そのため、認証してもらえるように別の文書を出します。

日本公証人連合会のサイトによい説明があります:

「会社の登記事項証明書や個人の戸籍事項証明書は、公的機関が作成した公文書ですから、公証人は認証することができません。公文書は発行した公的機関自身が認証すべきものだからです。

では、どうしたらいいか。

それは、嘱託人が当該登記事項証明書等を外国語に翻訳し、その翻訳した人が、「自分は日本語と当該外国語に堪能であり、添付の公文書の記載内容を誠実に翻訳した。」旨を記載した宣言書(Declaration)を作成して署名し、この文書に外国語訳文と登記事項証明書等とを添付した上、その宣言書を公証人に認証してもらえばいいのです。

この宣言書自体は、公文書ではなく、私人が作成した私文書、つまり私署証書であり、公証人が認証することができるのです。」(引用終わり)

上述の「別の文書」とは「宣言書 (Declaration)」のことでした。宣言書は私どもで作成しまして、日本の公証役場に持参していただきます。この例の中にある翻訳人ではなく、会社代表者に署名をしてもらうこともあります。

署名(サイン)について

ドイツは署名(サイン)中心社会

ドイツでは他の欧米諸国と同様、署名が契約の締結に必要となることがほとんどです。日本における印鑑の役割を、署名が果たします。なお、2021年11月の現段階において、電子署名は普及していません。

簡単な契約では印刷・署名・スキャンしたものをPDFの形でメールで交わしたりすることも多い一方、重要な契約になればなるほどオリジナル原紙に手書きでサインすることが重んじられる傾向が残っています。

会社設立についても例外ではなく、有限会社の設立証書には会社代表者が公証役場で直接サインする必要があります。また、日本の親会社からの設立委任状には署名にアポスティーユまでつけてオリジナルを日本から送ってもらう必要があって時間と手間がかかります。(ご参考: ドイツ会社設立の手続き

【おまけ】署名はパスポートと同じサインでよいか

「署名はパスポートと同じサインでよいか?」は、よくいただくご質問です。上述のような会社設立の場合には本人確認書類としてパスポートが重要になってきますので、パスポートと同じサインで行うのが正しいと考えられます。(公証役場での設立証書サインの際には、パスポートのコピーもとられます。)

ところで、パスポートの署名は漢字にされている方も多いと思われます。上記のような場合には、そのまま漢字で署名します。また、漢字は真似がされにくいのでカードの盗難など防犯対策として有効な面があります。しかし、常に必ず漢字で署名しなくてはならないかというと、そうとも限りません。

上記と違って役場を通さないレベルの賃貸契約など一般の契約で(特に田舎の場合は)「何が書いてあるか判じることができない」という理由で、漢字での署名が受け入れられないケースがごく稀にあります。そういった場合、ローマ字・筆記体のサインにしてしまって実務上問題はありません。

また、サインする枚数が多すぎて漢字で書いていられない場合も、同じくローマ字・筆記体にして実務上通るようです。

具体的には、契約の内容や相手方、書類要件などによりますので、相談して進めることが重要です。

ドイツには社長がいない

ドイツに社長がいない(有限会社でも株式会社でも)

ドイツは一般的な会社形態である有限会社であれば「取締役 Geschäftsführer」が、株式会社であれば「取締役会 Vorstand」のメンバーが、会社を代表し、かつ経営を行います。

日本と違って、特に定めのない限りは共同で会社を代表します。

会社トップは誰か(日本の場合・ドイツ有限会社の場合・ドイツ株式会社の場合)

日本であれば必ず代表取締役が一人はいるわけで、社長という職が会社法で定まっていないにもかかわらず、代表取締役が社長として内外ともに機能します。

ドイツでも、内部的に No.1 が誰かを決めることはありますが、共同代表ですので法的には等しく単なる取締役(平取?)です。その代わり、取締役 Geschäftsführer なり取締役会 Vorstand のメンバーとなると(平取と言えど?)、共同でそれ相応の社会的地位と責任が生まれてきます。

日系企業の現地法人の場合

日系企業の現地法人(通常は有限会社)でも駐在員のトップの方が取締役 Geschäftsführer になることが多いですが、単独でなる場合もあれば、現地採用社員のトップと共同でなる場合もあります。いずれにせよ、有限会社の取締役とは、商業登記裁判所の登記に載る重要な役職です。一般従業員とは異なる立場ですので、その地位と責任への理解が必要です。