ドイツ飲食店開業の費用

飲食店の開業のプロセスについて書きましたが、出店費用も同様に大きな問題です。特に独立起業しようという方には、金額の多寡に応じて独立スケジュールが変わってこようかと思います。

以下では費用の種類を3つに分けて解説します。

1)店舗初期費用

現実には、店の規模や業態によっても、設備や内装にどれほどお金をかけるかによって大きく違ってきます。店舗の初期費用は、100万ユーロ以上かける方から、5万ユーロ以内で収める方までマチマチです。

そこでここでは、主な項目を列挙しておきます。

  • 買取費用: いわゆるスケルトン状態での物件取得ではなく、前テナントがまだ賃貸している場合は、前テナントから設備買取費の名目で営業権(のれん代 / Abstand または Ablöse といいます)を払うことが一般になってきました。都市によって相場に大きな開きがありますが、主要都市であれば通常は 5万ユーロは安い方で、10万ユーロから20万ユーロ、大型物件では50万ユーロ以上する場合も増えてきました。
  • 敷金: 通常は基礎家賃 Cold rent の3ヶ月分ですが、商業物件の場合は6ヶ月など長めの場合もありますので、ご注意ください。
  • キッチン大型設備: ダクト Ablüftungshaube とグリーストラップ Fettabscheider が物件に備わっていない場合は投資が必要です。ダクトは必要火力に見合った出力とパイプの口径に注意が要ります。グリーストラップの規制は州によって異なります。また、倉庫や冷蔵室 Kühlzelle が必要な場合もあると思われます。
  • キッチン一般設備: コンロ、フライヤー、冷蔵庫、冷凍庫、食器・グラス洗い機、流し、作業台が基本。
  • 工事監督・デザイン(適宜): 高いですし必須ではありませんが、時間にも仕事にもルーズなことが多い工事業者に対してプロの監督は有用です。建築士やデザイナーにお願いすることもあります。
  • 内装工事: Trockenbau というのが床やカウンターなどの工事になります。壁塗りや電装の整備(照明と音響)も重要です。
  • 外装工事: ファサードは専門業者がいますが、このとき重要なのは建築局の許可までとっておくことです。
  • テーブル、椅子
  • 調理器具、食器、グラス類
  • IT機器類
  • ユニフォームなど

2)一般開業費用

開業にあたってかかるのは物件費用だけではありません。事務面での設立準備にも費用がかかります。特に大きな支出項目はありませんが、お示ししておきます。

3)運転資金(ランニングコスト)

物件賃貸や人材採用から何ヶ月でオープンして、営業が軌道に乗るかによって、準備の必要な月数が変わってきます。「ドイツ飲食店開業の手続き」で書きましたように、開店までだけでも3ヶ月から6ヶ月までは想定が必要です。

その間の固定費はランニングコストとしてカバーする準備が必要です。

  • 家賃: 商業用では付加価値税 VAT (現行 19%)がつくこともありますので、ご注意ください。
  • 光熱費
  • 人件費: 社会保険の雇用者負担部分が2割ありますので、額面金額の1.2倍 (ミニジョブの場合は 1.3倍)を想定しましょう。
  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • (適宜)自動車などのリース費用

以上、開店費用を3分類してご説明しました。実際には物件や業態によって大きく違ってきますので、ご注意ください。

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