ドイツに進出する理由7選

現地法人の進出先としてなぜドイツが選ばれるのでしょうか?

ドイツは言うまでもなく「欧州政治経済の中心」ですが、それよりもっと実務的な理由があります。

  1. 欧州の地理的中心でもありヨーロッパ各地へのアクセスがよい
  2. ドイツからは日本への直行便が豊富である
  3. Brexit でドイツの重要性が高まっている
  4. 大国・連立政治の安定感
  5. ドイツは英語が通じやすい
  6. 意外に生活費が安い
  7. 治安がよく安定した法治国家である

以下、各ポイントごとに見ていきます。

1)欧州の地理的中心でもありヨーロッパ各地へのアクセスがよい

地理的に欧州の中心にあり、大陸主要都市には1時間前後で、ロンドンへは2時間ほどで飛ぶことができます。

欧州大陸は鉄道網が発達しているので、パリやブリュッセル、アムステルダム、それからバーゼルやプラハなど、各地へ直通の長距離列車も豊富です。

また、アウトバーンを通っての自動車での移動も可能です。たとえば、デュッセルドルフはベネルクス各国へ近く、ブリュッセルやロッテルダムまでは車で2時間です。

2)ドイツからは日本への直行便が豊富である

上述のように、大陸主要都市には1時間前後で、ロンドンへは2時間弱で飛ぶことができます。フランクフルトは欧州でトップを争う空港であるほか、ミュンヘンも十指に入る大型空港です。

ベルリンハンブルグデュッセルドルフ、ケルン・ボン、シュツットガルトなど、他の空港からも欧州各国への便が出ています。

日本へは、なんとフランクフルト、ミュンヘン、デュッセルドルフの3都市から直行便が出ています(東京、大阪、名古屋行き)。他の欧州諸国ではイタリア以外は一都市からしか直行便はないはずですので、これは大きな魅力です。
(なお、コロナ下で変更がありますのでご注意ください。)

3)Brexit でドイツの重要性が高まっている

欧州への営業免許のパスポート無効化でロンドンから全欧州をカバーしていた金融機関は、欧州拠点機能の一部をフランクフルト、パリ、アムステルダムなどに移しました。

関税と貿易事務の増加から、EUとイギリスの間の貿易は激減し、他の多くの業種で欧州拠点を大陸に持つ流れになっています。

これまで英語の利便性からイギリスに多く集まっていた日系企業の欧州拠点も例外ではありません。

その中では、イギリスを除いて欧州拠点として一番選びやすいのが、欧州政治経済の中心であるドイツです。

4)大国・連立政治の安定感

小国では右翼政党が政権をとったり、地方で独立運動が起こったりと政治に安定感がありません。そこが、日本にいては感じにくいビジネスリスクと言えます。

また、コロナの折には「ロックダウンをせずに集団免疫に挑む」といった実験ができてしまうのも小国です。

ドイツでは、CDU と SPD の二大政党が政策面で似通ってきているのと同時に、いずれも単独では過半数をとれず、緑の党(Grüne)や自由民主党(FDP)以下の中堅政党が連立政権に入る形が通常化しています。

変化を求める有権者には歯痒い状態かもしれませんが、ビジネス環境の安定性という意味では政治的安定感が評価ができます。(ただし、やや左傾化・北欧化しつつあることは指摘しなくてはなりません。)

5)ドイツは英語が通じやすい

フランスやイタリアと比べれば、ドイツはかなり英語が通じます。むしろビジネスの場ではほぼ問題なく英語が使えます。

たしかに、北欧やベネルクスの小国のように日常レベルでもよく通じるかというと、必ずしもそうとは言えません。

しかし、フランクフルトシュツットガルトのような外人比率の高い都市や、ベルリンやハンブルグの中心部ではかなり英語が通じますし、デュッセルドルフのように日本人の多い都市では日本語でもある程度暮らしていけます。

6)意外に生活費が安い

ドイツは主要先進国の中では物価、とりわけ生活費が安い利点があります。OECD の統計では、ドイツの物価レベルはちょうど OECD 平均の 100。日本は 113、アメリカは 117、イギリスは 105 と出ています。ヨーロッパでは、スイスが 142、フランスが 98、オランダが 104 など。

イギリスとフランスはロンドンとパリが国の平均を大きく超えていると思われますが、ドイツでは首都ベルリンはむしろ物価の安さで知られる発展途上の都市です。また、国の機能が各地方都市に分かれていることから、他の主要都市でもロンドンのような高物価は見られません。

住宅価格や家賃は、家自体が大きいので単純比較はできませんが、平米単価は安めです。1平米あたりの住宅家賃は主要都市でも 12ユーロ程度(坪あたり 4800円)になっています。

また、食材が安く、重要栄養源のジャガイモはスーパーに行けば 3キロで 1.8ユーロと、食べ切るのが難しいぐらいです。また、スパゲッティーは 500g が 65セントなど、これも非常に安価です。魚介類を除けば食材は安く、自炊をする限りは低コストで生活できます。(注: 醤油や味噌、調味料は、主要都市ならばアジアスーパーで買うことができます。)

7)治安がよく安定した法治国家である

ドイツも移民が多いので、決して治安の心配がないとは言えません。しかし、上の地図のように特に危険度の高い都市はありません(赤に近いほど治安が悪く、緑は治安がよい)。

法に厳格な国家で、その執行人として警察が非常によく機能しています。日常的にパトカーの巡回や警官の見張りがあって、秩序正しく住む一般市民には安心感があります。

また、治安とは別の意味でも、契約通りにことが進む法治国家と言えます。家柄や人種による見えない差別や、マフィアの介在などが見られません。

まとめ

以上、ドイツがヨーロッパの進出先として選ばれる理由・選ぶべき理由を7つご紹介しました。

  1. 欧州の地理的中心でもありヨーロッパ各地へのアクセスがよい
  2. ドイツからは日本への直行便が豊富である
  3. Brexit でドイツの重要性が高まっている
  4. 大国・連立政治の安定感
  5. ドイツは英語が通じやすい
  6. 意外に生活費が安い
  7. 治安がよく安定した法治国家である

より多くの日系企業が、ドイツを拠点に、輸出や海外売上高を伸ばしてくださればと思っております。

シュツットガルト進出案内

シュトゥットガルト / Stuttgart について、現地法人設立や起業の観点からご説明します。

ベンツとポルシェで知られる自動車都市です。外国人比率はフランクフルトに次いで高く、ドイツの進出先として適しています。実際の進出の際には後述のように、盆地である地形やビザ取得のポイントなどに考慮が必要です。

目次

1)シュトゥットガルトの産業
2)シュトゥットガルトの人口

3)シュトゥットガルトの空港
4)シュトゥットガルトの事業税
5)日系企業のオフィス立地

1)シュトゥットガルトの産業

代表的企業を見れば、主要産業は一目瞭然です。

シュトゥットガルトの雇用人数別・大企業ランキング

  1. Daimler AG(メルセデスベンツのこと)
  2. Bosch GmbH(ボッシュ)
  3. Porsche AG(ポルシェ)
  4. LBBW(州立銀行)
  5. Wüstenrot & Württembergische AG(住宅金融・保険)
  6. MAHLE GmbH(エンジン、自動車部品)
  7. Breuninger(高級デパート)

ボッシュは重電家電も含めた巨大コングロマリットですが自動車関連が大半ですので、シュツットガルトは大手7社中4社が自動車関連だと言えます。

したがって、日系企業の現地法人も、ベンツやボッシュを取引先とした会社や部門が多くなっています。

2)シュトゥットガルトの人口

市の人口は2020年末の統計で63万人とされています。ドイツで6番目の大きさになりますが、やはり他のドイツの主要都市と同じく、日本と比べると地方中枢都市ぐらいの規模感です。しかし、シュツットガルトもやはりエスリンゲン / Esslingen はじめ周辺都市と合わせて経済圏を形成していますので、隣接都市を合わせると100万人超と見ることができます。また、南北のハイルブロン / Heilbronn やチュービンゲン / Tübingen など衛星都市も含めた「シュツットガルト都市圏」としては540万人にも上ります

また、ドイツはどの都市も同じ傾向がありますので、この63万人の人口でドイツ7番目の大きさとなっています。

外国人比率は 24.6% と高く、「移民バックグラウンド」の市民(本人ないしは両親の少なくとも一方が外国籍を持って生まれた市民)の率も4割と、ドイツの主要都市ではフランクフルトに次いで2番目となっています。

日本人の人口は、1700人から2000人ぐらいと言われています。日本人学校は補習校はありますが、全日制がありませんので、インターナショナルスクール(ISS や SIS)に通うのが一般的です。

シュトゥットガルト日本人会は、強力なリーダーシップの下で個人会員・法人会員の区別なく、活発に四半期ごと・月次の各種行事を行なっていて、非常に交流が盛んです。会員数400名と言いますので、日本人人口全体と比べた会員比率は非常に高いものとなっています。

3)シュトゥットガルトの空港

シュツットガルトの空港は、市の南端のフィルダーシュタット / Filderstadt とラインフェルデン・エヒターディンゲン / Leinfelden-Echterdingen の境にあります。また、メッセ・シュトゥットガルトと隣接してもいます。

上の地図では市の中心から車で16分と出ていますが、盆地でかつ車社会であるシュツットガルトでは、渋滞のため予想以上に所要時間がかかることが多く、感覚的には30分ぐらいかかります。

電車(Sバーン)では街中から25分前後になります。

あまり有名な空港ではなく、ほとんどがドイツ国内ないしは欧州主要都市向けとなります。日本への飛行には、フランクフルト、ロンドン、パリ、アムステルダム、イスタンブールなどへ飛んでから乗り換える形になります。

もっとも、最近ではフランクフルトまでは特急(ICE)で1時間15分ほどで行くことができます。

4)シュトゥットガルトの事業税

事業税 / Gewerbesteuer とは、法人の利益への課税のうち市町村から課される部分で、各自治体ごとに異なる料率をかけます。一方、国と州から課されるのは法人税 / Körperschaftsteuer といって一律 15%ですが、その課税額に対し 5.5% の連帯付加税 / Solidaritätszuschlag(東ドイツなどの復興納税)が加わりますので、実質 15.825% となります。

事業税の計算の仕方は、3.5% のベースレート / Steuermessbetrag があって、それに市町村ごとの掛け目 / Hebesatz を掛けます。一般には 400% ぐらいの掛け目が一般なので(レンジは200-900%)、3.5% x 400% = 14% の事業税ということになります。

これに先の法人税 約15.8% と合わせますと、約29.8%ということになります。

さて、シュツットガルトの掛け目ですが、420%と主要都市の中では低めです。上記と同様に計算しますと、事業税が 14.7% で、法人税 約15.8% と合わせて 30.5% になります。

また一方で、シュツットガルトの近郊には後述のようにエスリンゲン / Esslingen はじめ企業の拠点となる都市が多いですが、いずれも 390-400% 程度の掛け目で、シュツットガルトとあまり差はありません。あえて低いところ探すと、メルセデスの工場がある Sindelfingen が 370% と低めのようです。

もっとも、事業税の対象となる自治体は、単に本拠地というだけでは決まりません。売上の上がった場所、従業員数の拠点ごとの分布など、いくつかのファクターで総合的に求められます。具体的な計算や税務署への報告には日本人税理士を紹介しております。

5)日系企業現地法人のオフィス立地

シュツットガルトでは、日系企業の現地法人の多くは南側の郊外に居を構えています。それには以下の理由があります。

  1. ダイムラー(メルセデスベンツ)はじめ主要現地メーカーが郊外に多いこと
  2. 盆地であるシュツットガルト市街地にはオフィス向きの立地が少ないこと
  3. 郊外からシュツットガルト市街地への通勤には渋滞が多いこと

実際に、エスリンゲン / Esslingen に大手日系企業が多いほか、ラインフェルデン・エヒターディンゲン / Leinfelden-Echterdingen にも数多くの日系の現地法人オフィスがあります。その他の周辺の市でも日系企業が活躍されています。

また、裏話ですが、ビザ取得のためにはシュツットガルト市以外の自治体で申請することが有利となっています。

フランクフルト進出案内

フランクフルト / Frankfurt am Main について、現地法人設立や起業の観点からご説明します。

金融都市として有名ですが、ドイツ一番の空港もあり地理的に欧州・ドイツの中ほどにあることから、交通の便が非常によいのが魅力です。また、外国人の比率が非常に高いこともあり、外国企業の入りやすい利点もあります。

ちなみに Frankfurt am Main の “am Main” は「マイン川のほとりの」という意味。ベルリンから更に東のポートランド国境には、Frankfurt an der Oder という「オーダー川のほとりの」別のフランクフルト市があります。

目次

1)フランクフルトの産業(金融と空港、そして製造業)
2)フランクフルトの人口(高い外国人比率)
3)フランクフルトの空港(街から15分のハブ空港)
4)フランクフルトの事業税
5)日系企業のオフィス立地

1)フランクフルトの産業

フランクフルトの主要インフラ

まず、フランクフルトの主要インフラから見ていきます。

  • フランクフルト空港
  • メッセ・フランクフルト(世界一のブックメッセ、世界一の日用品見本市 Ambiente など)
  • ECB(ヨーロッパ中央銀行)、ドイツ連邦銀行

金融

上記3つ目にヨーロッパとドイツの中央銀行がそれぞれ挙がっています。たしかに、フランクフルトと言えば金融都市。

「アルプスの少女ハイジ」のハイジが過ごした都会の家は、フランクフルトでした。クララのお父さんは銀行家という設定だったと言われています。また、ユダヤの金融一族として、いまだに赤ワインの「シャトー・ムートン・ロートシルト」「シャトー・ラフィット・ロートシルト」で名が残るロスチャイルド家もフランクフルト発祥です(Rotschild ロートシルト = ドイツ語で赤い盾)。

現在でも、ドイツ銀行(ドイチェバンク)、コメルツ銀行はじめ大手銀行や外資系金融機関の拠点も多くはフランクフルトにあります。また、Brexit によって、ロンドンから欧州大陸への機能移転も多くはフランクフルトに移ったものと言われています(一部でアムステルダムやパリを選んだ銀行・会社もあります)。

邦銀の場合は、日本人人口がドイツ最大であるデュッセルドルフにより比重が高いようですが、それでもメガバンク各行の拠点と、証券会社や保険会社はフランクフルトにあります。

運輸

しかし、商工会議所 (IHK) の統計を見ると、2020年6月のフランクフルトと郊外での雇用人数は、金融機関の93,000人に対して、運輸倉庫業が92,000人とほぼ同数。また製造業も60,000人と相当数います。

主要空港があることから分かるように、運輸倉庫業すなわちロジスティクス系の企業が多いこともフランクフルトの特徴です。フランクフルト空港自体が Fraport AG という巨大企業であるほか、ナショナルフラッグキャリアーであるルフトハンザドイツ航空がやはりフランクフルトの大企業です(意外にも本社はケルンにあるようですが)。

日系の航空会社はもちろん、運送会社やフォワーダー各社もフランクフルトを拠点にされています。

メーカー

また、先述のように製造業も大きなフランクフルトの産業です。自動車の部品関連の機械・電気メーカーと、薬品や化学系のメーカーが活躍しています。巨大企業としては Sanofi-Aventis があります。Sanofi はフランスの製薬会社ですが、Aventis は有名なヘキスト Höchst という化学会社から M&A を経てできた会社です。Höchst はフランクフルト西側で空港にも近い産業地域の地名でもあり、化学工場の煙突がたくさん見えます。

ところで、なぜ製造業もフランクフルトに多いのでしょうか? それは、北ドイツへも南ドイツへもアクサセスしやすいドイツ国内での中心的な立地に加え、ハブ空港からヨーロッパ・世界中にアクセスがし易い利点があるからです。交通の便のよさがフランクフルトの魅力です。

また、一つだけ労務的にセンシティブな情報をお伝えします。シュツットガルトミュンヘンは、ダイムラーやボッシュ、BMWにジーメンスとそれぞれ巨大製造業を擁し、こういった企業との取引のために現地法人を出す日系企業は数多くあります。ところが、これら南側の州はカトリックの影響で祝日の数が北側より4-5日多くなります(ドイツは祝日が州によって違います)。そのため、フルタイムの社員に同じ給与を支払っても、実働日数に違いが出てしまいます。

2)フランクフルトの人口

2019年の統計で76万人という数字になっています。これだけの知名度ですが、日本の地方中枢都市ぐらいの規模になっています。ただし、フランクフルト市よりもむしろ郊外で高級住宅地や産業エリアがありますので、「ラインマイン地域」では 240万人もの人口があると言われています。更に広域の「ラインマイン都市圏」では 570万とされています。

ドイツはどの都市も同じ傾向がありますので、この76万人の人口でもドイツ5番目の大きさとなっています。

フランクフルトの特徴は外国人比率が高いこと。2018年の統計で外国籍の市民の比率が29.6%にもなっています。また、51%もが「移民バックグラウンド」、すなわち本人ないしは両親の少なくとも一方が外国籍を持って生まれた市民になっています。

二重国籍や国籍の変更が珍しくないので、これをもって「ドイツ人より外人の方が多い都市だ」とまでは言えませんが、少なくとも周辺都市から就業者が集まる昼間の人口は外国人の方が多いと言われているのは間違いではないかもしれません。

外国人比率が高いということは、英語が通じやすいことでもあり、役所などでも外国人や外国企業の取り扱いに比較的慣れていることは利点です。

日本人の人口は、外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると、3000人弱になっています。しかし、上述のように周辺都市の人口が多いのは日本人にも当てはまり、フランクフルト総領事館のカバーされている3州の邦人が6000人という数字から類推しますと、上述のフランクフルト都市圏では5000人は居住があるのではないかと推測されます。

また、日本人学校には全日制と補習校の両方があり、インターナショナルスクールは主に3校(FIS, IFS, MFS)あります。

日本人法人会があり約200社の登録があるほか、ラインマイン友の会という互助組織があります。また、プライベートの異業種交流会は各種盛んに行われています。

また、夏には「マイン祭」という日本文化をテーマにしたお祭りが催され、数万人の日本ファンの来客を集めています。

3)フランクフルトの空港

先述のようにフランクフルトにはドイツで一番の空港 Flughafen(地図上左下)があります。欧州でも有数でして、コロナ下の時期を除けば、旅客数・運輸高・便数などで見て、ロンドン・ヒースロー、パリ・CDG、アムステルダム・スキポールと肩を並べる欧州を代表する空港です。

もちろん本数は豊富で、アメリカやアジアへのフライトも多く、日本との間の直行便も日本航空・全日空・ルフトハンザと揃っており、東京・大阪・中部の各空港への運行があります。(コロナウイルスの影響もありますので、逐次ご確認ください。ご参考: ウィキペディア「日本の空港から直行便のある都市一覧」

フランクフルトで空港と言えば、特筆すべきは街からの近さです。なんと市の中心地である Hauptwache から16分、フランクフルト中央駅からは12分で、ごく普通の電車(Sバーン)で行くことができます。15分に1本出ています。

タクシーでも道が空いていれば15-20分程度で着きますので(道のり12キロ)、人口80万人弱の都市ならではの身軽さです。

4)フランクフルトの事業税

事業税 / Gewerbesteuer とは、法人の利益への課税のうち市町村から課される部分で、各自治体ごとに異なる料率をかけます。一方、国と州から課されるのは法人税 / Körperschaftsteuer といって一律 15%ですが、その課税額に対し 5.5% の連帯付加税 / Solidaritätszuschlag(東ドイツなどの復興納税)が加わりますので、実質 15.825% となります。

事業税の計算の仕方は、3.5% のベースレート / Steuermessbetrag があって、それに市町村ごとの掛け目 / Hebesatz を掛けます。一般には 400% ぐらいの掛け目が一般なので(レンジは200-900%)、3.5% x 400% = 14% の事業税ということになります。

これに先の法人税 約15.8%と合わせますと、約29.8% ということになります。

さて、フランクフルトの掛け目ですが、410%とドイツの主要都市の中では最も低くなっています。上記と同様に計算しますと、事業税が 14.35% で、法人税 約15.8%と合わせて約30.2% になります。

また一方で、フランクフルトの近郊にはエシュボルン / Eschborn という低税率で企業誘致に成功した街があります。そちらの掛け目は 330% ですので、計算すると約27.4% になります。

ただし、事業税の対象となる自治体は、単にの本拠地というだけでは決まりません。売上の上がった場所、従業員数の拠点ごとの分布など、いくつかのファクターで総合的に求められます。具体的な計算や税務署への報告には日本人税理士を紹介しております。

5)日系企業現地法人のオフィス立地

ほとんどの日系企業の現地法人は、太線内のフランクフルト中心部にオフィスを構えています。

しかし、事業税のところで触れたエシュボルン / Eschborn(フランクフルトから北西)、次いで空港と周辺の諸都市(フランクフルトから南西)も、製造業を中心に日系企業が複数社集まっています。いずれもフランクフルト市内からは、自動車でアウトバーンを走ってか電車(Sバーン)かで、15分から30分程度の距離になります。コンパクトで交通の便がよいのが、この地区の特徴です。