SCHUFA 信用情報

SCHUFA とは何か

SCHUFA とは個人を中心とした信用スコアです。ドイツに住むほぼ全ての人についてスコアがつけられています(移住して間もない場合はデータが出ません)。

SCHUFA は決して公的機関の出すものではなく、Schufa Holdings AG という民間金融機関や一般事業会社からの出資によって経営されている会社によって運営されています。

(SCHUFA オンライン請求はこちら

SCHUFA のスコアと種類について

一般のスコア Basisscore は、100点満点中 97.5 以上であれば最優秀のカテゴリーですが、95 以上であれば十分で、90 を超えていれば何とか支障はないという印象です。逆に50 を切るとかなり問題になります。

これとは別に、100 を最高点に600 台まで下がっていく、SCHUFA-Orientierungswert というスコアもあります。

また、SCHUFA には主に2種類あって、オンラインで請求して郵送を待つ正式版の SCHUFA-BonitätsAuskunft と、銀行や不動産系のウェブサイトでもその場で PDF の形でダウンロードできる SCHUFA-Bonitätscheck があります。

後者の SCHUFA-Bonitätscheck では Positive か Negative かだけはすぐに出るのですが、住宅の賃貸ぐらいの金額のものであれば、この情報で足りることもあります。なお、ダウンロードにはオンラインバンキングへのアクセスが必要です。

SCHUFA-Bonitätscheck のサンプル(出所:Immoscout 24)
SCHUFA-Bonitätscheck のサンプル (出所:Immoscout 24)

 

SCHUFA 提出が要る局面(駐在員事務所飲食店開業にも必要な場合あり)

以下のような予定がある場合には、SCHUFA には要注意です。私たちのクライアントでは、独立支社・非独立支社・駐在員事務所が代表者個人の名義でオフィス賃貸やカーリースを行う場合、または個人事業で店舗物件の賃貸契約や銀行融資を受ける場合が当てはまります。

  • 住宅賃貸契約
  • クレジットカード発行
  • 銀行ローン
  • リース
  • 個人事業(オフィス賃貸契約、銀行融資)

SCHUFA はどこから情報を集めているか

  • 銀行口座
  • クレジットカード
  • 携帯電話
  • リース
  • ローン
  • 請求書払いのネットショッピング

(注意)携帯電話やインターネット回線の支払いは盲点になりがちです。ドイツで一般に2年の固定契約の後は年に一回しか解約ができません。意図したタイミングで解約が認められず、知らぬ間に未払いの債務が残るケースがありますので、ご注意ください。

SCHUFA についての裏話

  • 実は SCHUFA はそんなに傷つかない: 私たちの日本人のクライアントは支払いに非常に責任感を持たれていて、振り込みの手違いで支払いができなかったときでも SCHUFA スコアが傷つくのではないかと心配されます。しかし、支払いが遅れて、リマインドの手紙 Zahlungserinnerung や督促状 Mahnung が来たぐらいでは影響はないようです。
  • 逆に SCHUFA は何で傷つくか: 逆に傷つくのが、支払いを更に引き伸ばして強制執行 Vollstreckung まで行ってしまった場合、債権取り立て業者 Inkasso に回されても支払わなかった場合、などです。
  • SCHUFA が回復する期間: それでは傷が癒えるにはどれほどの時間が必要なのでしょうか。小さな額では支払いの時点から12ヶ月後(ただしスコア更新は3ヶ月ごと)、大きな額では支払いから3年後と言われています。額の大小の定義は確かではありませんが、1000€を超えたものが大きな額とみなされ、支払った年の年末から数えて3年で履歴が消えるとネット検索で見られました
  • SCHUFA が間違えていたら: SCHUFA 側の間違いで劣悪なスコアをつけられてしまった事例があります。そういった場合は、異議申し立て Einspruch をして訂正を要求することができます。必ずしも簡単スムーズではありませんが、抗弁は可能です。

フランクフルト進出案内

フランクフルト / Frankfurt am Main について、現地法人設立や起業の観点からご説明します。

金融都市として有名ですが、ドイツ一番の空港もあり地理的に欧州・ドイツの中ほどにあることから、交通の便が非常によいのが魅力です。また、外国人の比率が非常に高いこともあり、外国企業の入りやすい利点もあります。

ちなみに Frankfurt am Main の “am Main” は「マイン川のほとりの」という意味。ベルリンから更に東のポートランド国境には、Frankfurt an der Oder という「オーダー川のほとりの」別のフランクフルト市があります。

目次

1)フランクフルトの産業(金融と空港、そして製造業)
2)フランクフルトの人口(高い外国人比率)
3)フランクフルトの空港(街から15分のハブ空港)
4)フランクフルトの事業税
5)日系企業のオフィス立地

1)フランクフルトの産業

フランクフルトの主要インフラ

まず、フランクフルトの主要インフラから見ていきます。

  • フランクフルト空港
  • メッセ・フランクフルト(世界一のブックメッセ、世界一の日用品見本市 Ambiente など)
  • ECB(ヨーロッパ中央銀行)、ドイツ連邦銀行

金融

上記3つ目にヨーロッパとドイツの中央銀行がそれぞれ挙がっています。たしかに、フランクフルトと言えば金融都市。

「アルプスの少女ハイジ」のハイジが過ごした都会の家は、フランクフルトでした。クララのお父さんは銀行家という設定だったと言われています。また、ユダヤの金融一族として、いまだに赤ワインの「シャトー・ムートン・ロートシルト」「シャトー・ラフィット・ロートシルト」で名が残るロスチャイルド家もフランクフルト発祥です(Rotschild ロートシルト = ドイツ語で赤い盾)。

現在でも、ドイツ銀行(ドイチェバンク)、コメルツ銀行はじめ大手銀行や外資系金融機関の拠点も多くはフランクフルトにあります。また、Brexit によって、ロンドンから欧州大陸への機能移転も多くはフランクフルトに移ったものと言われています(一部でアムステルダムやパリを選んだ銀行・会社もあります)。

邦銀の場合は、日本人人口がドイツ最大であるデュッセルドルフにより比重が高いようですが、それでもメガバンク各行の拠点と、証券会社や保険会社はフランクフルトにあります。

運輸

しかし、商工会議所 (IHK) の統計を見ると、2020年6月のフランクフルトと郊外での雇用人数は、金融機関の93,000人に対して、運輸倉庫業が92,000人とほぼ同数。また製造業も60,000人と相当数います。

主要空港があることから分かるように、運輸倉庫業すなわちロジスティクス系の企業が多いこともフランクフルトの特徴です。フランクフルト空港自体が Fraport AG という巨大企業であるほか、ナショナルフラッグキャリアーであるルフトハンザドイツ航空がやはりフランクフルトの大企業です(意外にも本社はケルンにあるようですが)。

日系の航空会社はもちろん、運送会社やフォワーダー各社もフランクフルトを拠点にされています。

メーカー

また、先述のように製造業も大きなフランクフルトの産業です。自動車の部品関連の機械・電気メーカーと、薬品や化学系のメーカーが活躍しています。巨大企業としては Sanofi-Aventis があります。Sanofi はフランスの製薬会社ですが、Aventis は有名なヘキスト Höchst という化学会社から M&A を経てできた会社です。Höchst はフランクフルト西側で空港にも近い産業地域の地名でもあり、化学工場の煙突がたくさん見えます。

ところで、なぜ製造業もフランクフルトに多いのでしょうか? それは、北ドイツへも南ドイツへもアクサセスしやすいドイツ国内での中心的な立地に加え、ハブ空港からヨーロッパ・世界中にアクセスがし易い利点があるからです。交通の便のよさがフランクフルトの魅力です。

また、一つだけ労務的にセンシティブな情報をお伝えします。シュツットガルトミュンヘンは、ダイムラーやボッシュ、BMWにジーメンスとそれぞれ巨大製造業を擁し、こういった企業との取引のために現地法人を出す日系企業は数多くあります。ところが、これら南側の州はカトリックの影響で祝日の数が北側より4-5日多くなります(ドイツは祝日が州によって違います)。そのため、フルタイムの社員に同じ給与を支払っても、実働日数に違いが出てしまいます。

2)フランクフルトの人口

2019年の統計で76万人という数字になっています。これだけの知名度ですが、日本の地方中枢都市ぐらいの規模になっています。ただし、フランクフルト市よりもむしろ郊外で高級住宅地や産業エリアがありますので、「ラインマイン地域」では 240万人もの人口があると言われています。更に広域の「ラインマイン都市圏」では 570万とされています。

ドイツはどの都市も同じ傾向がありますので、この76万人の人口でもドイツ5番目の大きさとなっています。

フランクフルトの特徴は外国人比率が高いこと。2018年の統計で外国籍の市民の比率が29.6%にもなっています。また、51%もが「移民バックグラウンド」、すなわち本人ないしは両親の少なくとも一方が外国籍を持って生まれた市民になっています。

二重国籍や国籍の変更が珍しくないので、これをもって「ドイツ人より外人の方が多い都市だ」とまでは言えませんが、少なくとも周辺都市から就業者が集まる昼間の人口は外国人の方が多いと言われているのは間違いではないかもしれません。

外国人比率が高いということは、英語が通じやすいことでもあり、役所などでも外国人や外国企業の取り扱いに比較的慣れていることは利点です。

日本人の人口は、外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると、3000人弱になっています。しかし、上述のように周辺都市の人口が多いのは日本人にも当てはまり、フランクフルト総領事館のカバーされている3州の邦人が6000人という数字から類推しますと、上述のフランクフルト都市圏では5000人は居住があるのではないかと推測されます。

また、日本人学校には全日制と補習校の両方があり、インターナショナルスクールは主に3校(FIS, IFS, MFS)あります。

日本人法人会があり約200社の登録があるほか、ラインマイン友の会という互助組織があります。また、プライベートの異業種交流会は各種盛んに行われています。

また、夏には「マイン祭」という日本文化をテーマにしたお祭りが催され、数万人の日本ファンの来客を集めています。

3)フランクフルトの空港

先述のようにフランクフルトにはドイツで一番の空港 Flughafen(地図上左下)があります。欧州でも有数でして、コロナ下の時期を除けば、旅客数・運輸高・便数などで見て、ロンドン・ヒースロー、パリ・CDG、アムステルダム・スキポールと肩を並べる欧州を代表する空港です。

もちろん本数は豊富で、アメリカやアジアへのフライトも多く、日本との間の直行便も日本航空・全日空・ルフトハンザと揃っており、東京・大阪・中部の各空港への運行があります。(コロナウイルスの影響もありますので、逐次ご確認ください。ご参考: ウィキペディア「日本の空港から直行便のある都市一覧」

フランクフルトで空港と言えば、特筆すべきは街からの近さです。なんと市の中心地である Hauptwache から16分、フランクフルト中央駅からは12分で、ごく普通の電車(Sバーン)で行くことができます。15分に1本出ています。

タクシーでも道が空いていれば15-20分程度で着きますので(道のり12キロ)、人口80万人弱の都市ならではの身軽さです。

4)フランクフルトの事業税

事業税 / Gewerbesteuer とは、法人の利益への課税のうち市町村から課される部分で、各自治体ごとに異なる料率をかけます。一方、国と州から課されるのは法人税 / Körperschaftsteuer といって一律 15%ですが、その課税額に対し 5.5% の連帯付加税 / Solidaritätszuschlag(東ドイツなどの復興納税)が加わりますので、実質 15.825% となります。

事業税の計算の仕方は、3.5% のベースレート / Steuermessbetrag があって、それに市町村ごとの掛け目 / Hebesatz を掛けます。一般には 400% ぐらいの掛け目が一般なので(レンジは200-900%)、3.5% x 400% = 14% の事業税ということになります。

これに先の法人税 約15.8%と合わせますと、約29.8% ということになります。

さて、フランクフルトの掛け目ですが、410%とドイツの主要都市の中では最も低くなっています。上記と同様に計算しますと、事業税が 14.35% で、法人税 約15.8%と合わせて約30.2% になります。

また一方で、フランクフルトの近郊にはエシュボルン / Eschborn という低税率で企業誘致に成功した街があります。そちらの掛け目は 330% ですので、計算すると約27.4% になります。

ただし、事業税の対象となる自治体は、単にの本拠地というだけでは決まりません。売上の上がった場所、従業員数の拠点ごとの分布など、いくつかのファクターで総合的に求められます。具体的な計算や税務署への報告には日本人税理士を紹介しております。

5)日系企業現地法人のオフィス立地

ほとんどの日系企業の現地法人は、太線内のフランクフルト中心部にオフィスを構えています。

しかし、事業税のところで触れたエシュボルン / Eschborn(フランクフルトから北西)、次いで空港と周辺の諸都市(フランクフルトから南西)も、製造業を中心に日系企業が複数社集まっています。いずれもフランクフルト市内からは、自動車でアウトバーンを走ってか電車(Sバーン)かで、15分から30分程度の距離になります。コンパクトで交通の便がよいのが、この地区の特徴です。

駐在員事務所の名づけ方

駐在員事務所など、現地法人4形態

ドイツでの現地法人の形態には、主として以下の4種類があります。
(まとめ「ドイツ現法4つの会社形態」

有限会社 GmbH 
独立支社 Zweigniederlassung
非独立支社 Unselbstständige Niederlassung (Betriebsstätte)
駐在員事務所 Repräsentanz 

そのうち、有限会社は法人格を持ち、自らの名義と責任で事業を行います。一方、独立支社、非独立支社、駐在員事務所は、あくまで本社の名義と責任で事業を行います。

独立支社、非独立支社、駐在員事務所はどう名乗るべきか

さて、本稿のテーマである名称ですが、これら3形態は親会社の名代で、親会社の名前をそのまま使います。しかし、従業員1万人の親会社の名前を、従業員5名のドイツ駐在員事務所が名乗るようなことは、対外的にも社内的にも、不都合・不自然なことも多いかと思われます。(例: Nippon Motors Co., Ltd.)

しかし幸い、以下のように支社ないしは駐在員事務所であることを付して名乗ることも可能になっていまして、それが一般的になっています。具体例はそれぞれ以下のようになります。

独立支社の場合: Nippon Motors Co., Ltd. Zweigniederlassung Düsseldorf 

非独立支社の場合: Nippon Motors Co., Ltd. Zweigstelle Düsseldorf 

駐在員事務所の場合: Nippon Motors Co., Ltd. Repräsentanz Düsseldorf 

このうち駐在員事務所については、特に法律の定めのない存在で明確なガイドラインがあるわけではありませんが、駐在員事務所は売上のあがる営業活動ができませんので、特に親会社との区別は重要です。そこで実務上、上述の通りドイツ語で駐在員事務所(代表事務所)を表す Repräsentanz や、英語で Dusseldorf representative office といったように付記するケースが多くなっています。

ドイツ飲食店開業の費用

飲食店の開業のプロセスについて書きましたが、出店費用も同様に大きな問題です。特に独立起業しようという方には、金額の多寡に応じて独立スケジュールが変わってこようかと思います。

以下では費用の種類を3つに分けて解説します。

1)店舗初期費用

現実には、店の規模や業態によっても、設備や内装にどれほどお金をかけるかによって大きく違ってきます。店舗の初期費用は、100万ユーロ以上かける方から、5万ユーロ以内で収める方までマチマチです。

そこでここでは、主な項目を列挙しておきます。

  • 買取費用: いわゆるスケルトン状態での物件取得ではなく、前テナントがまだ賃貸している場合は、前テナントから設備買取費の名目で営業権(のれん代 / Abstand または Ablöse といいます)を払うことが一般になってきました。都市によって相場に大きな開きがありますが、主要都市であれば通常は 5万ユーロは安い方で、10万ユーロから20万ユーロ、大型物件では50万ユーロ以上する場合も増えてきました。
  • 敷金: 通常は基礎家賃 Cold rent の3ヶ月分ですが、商業物件の場合は6ヶ月など長めの場合もありますので、ご注意ください。
  • キッチン大型設備: ダクト Ablüftungshaube とグリーストラップ Fettabscheider が物件に備わっていない場合は投資が必要です。ダクトは必要火力に見合った出力とパイプの口径に注意が要ります。グリーストラップの規制は州によって異なります。また、倉庫や冷蔵室 Kühlzelle が必要な場合もあると思われます。
  • キッチン一般設備: コンロ、フライヤー、冷蔵庫、冷凍庫、食器・グラス洗い機、流し、作業台が基本。
  • 工事監督・デザイン(適宜): 高いですし必須ではありませんが、時間にも仕事にもルーズなことが多い工事業者に対してプロの監督は有用です。建築士やデザイナーにお願いすることもあります。
  • 内装工事: Trockenbau というのが床やカウンターなどの工事になります。壁塗りや電装の整備(照明と音響)も重要です。
  • 外装工事: ファサードは専門業者がいますが、このとき重要なのは建築局の許可までとっておくことです。
  • テーブル、椅子
  • 調理器具、食器、グラス類
  • IT機器類
  • ユニフォームなど

2)一般開業費用

開業にあたってかかるのは物件費用だけではありません。事務面での設立準備にも費用がかかります。特に大きな支出項目はありませんが、お示ししておきます。

3)運転資金(ランニングコスト)

物件賃貸や人材採用から何ヶ月でオープンして、営業が軌道に乗るかによって、準備の必要な月数が変わってきます。「ドイツ飲食店開業の手続き」で書きましたように、開店までだけでも3ヶ月から6ヶ月までは想定が必要です。

その間の固定費はランニングコストとしてカバーする準備が必要です。

  • 家賃: 商業用では付加価値税 VAT (現行 19%)がつくこともありますので、ご注意ください。
  • 光熱費
  • 人件費: 社会保険の雇用者負担部分が2割ありますので、額面金額の1.2倍 (ミニジョブの場合は 1.3倍)を想定しましょう。
  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • (適宜)自動車などのリース費用

以上、開店費用を3分類してご説明しました。実際には物件や業態によって大きく違ってきますので、ご注意ください。

アポスティーユとは

アポスティーユとは何か

現地法人の設立など、会社オーナーが日本にある場合、その登記簿謄本に「アポスティーユをつけて」公証人経由で商業登記裁判所に提出する必要がある場合があります。「アポスティーユを取得する」などとも言います。(ご参考「ドイツ会社設立の手続き」

では、「アポスティーユ Apostille」とは何なのでしょうか?

まず、外務省のサイトによる説明は以下の通りです:

「『外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)』(1961年10月5日のハーグ条約)に基づく付箋(=アポスティーユ)による外務省の証明のことです。提出先国はハーグ条約締約国のみです。アポスティーユを取得すると日本にある大使館・(総)領事館の領事認証があるものと同等のものとして,提出先国で使用することができます。」(引用終わり)

日本もドイツもハーグ条約加盟国ですので、アポスティーユを用いた書類の認証が可能です。

会社設立実務におけるアポスティーユ

次に、会社設立(現地法人の設立)の実務に合わせて説明します。国をまたいでも文書の正統性が認められるようにするためのものですので、以下のような文書について、アポスティーユを取得する必要が出てきます。

アポスティーユをつけて、提出する書類の主な例

  • 親会社の登記簿謄本・ドイツ語訳
  • ドイツ現地の代表者に対する設立委任状

日本の公証役場から言われてしまう困ったこととその対策

しかし、いざ日本の公証役場に行くと、「公証役場は私文書しか認証できないので、公文書である登記簿謄本にアポスティーユをつけることはできない」と言われてしまいます。そのため、認証してもらえるように別の文書を出します。

日本公証人連合会のサイトによい説明があります:

「会社の登記事項証明書や個人の戸籍事項証明書は、公的機関が作成した公文書ですから、公証人は認証することができません。公文書は発行した公的機関自身が認証すべきものだからです。

では、どうしたらいいか。

それは、嘱託人が当該登記事項証明書等を外国語に翻訳し、その翻訳した人が、「自分は日本語と当該外国語に堪能であり、添付の公文書の記載内容を誠実に翻訳した。」旨を記載した宣言書(Declaration)を作成して署名し、この文書に外国語訳文と登記事項証明書等とを添付した上、その宣言書を公証人に認証してもらえばいいのです。

この宣言書自体は、公文書ではなく、私人が作成した私文書、つまり私署証書であり、公証人が認証することができるのです。」(引用終わり)

上述の「別の文書」とは「宣言書 (Declaration)」のことでした。宣言書は私どもで作成しまして、日本の公証役場に持参していただきます。この例の中にある翻訳人ではなく、会社代表者に署名をしてもらうこともあります。